前回に続いてマンションの音のお話です。今回はマンションで問題になることが多い、上下階の床騒音についてのお話です。
上下階の床の遮音性能としては軽量床衝撃音(LL)と重量床衝撃音(LH)の2つの指標があります。
軽量床衝撃音とは、土足で生活する欧米等で定められた指標で、ハイヒール等で歩くコツコツという音を、どれだけ防げるかを表しています。規約等でマンション等で床を改修する場合のフローリングの防音性能をL-45以下とかに定めていますが、このL値のことであり、正確にはLL-45以下と記載するのが正しい記載方法です。フローリングの上にカーペットを敷いたり、畳の上で生活すれば、軽量床衝撃音は下げることが可能です。最近は100円ショップ等でも、フローリングの上に敷けるスポンジマット(ジョイントマット)等が販売されているので、その上で子供等を遊ばせることで、下階からのクレームを少なくすることが出来ます。また、子供が転倒した時の、ケガも防げます。
重量床衝撃音とは、日本独自の指標で、子供が椅子の上から飛び降りることを想定して定められています。なぜ日本独自の基準なのかと言うと、古くから集合住宅に住んでいる欧米では、床の上で飛び跳ねる行為は、住まい方のルール違反として、家庭内でも躾の段階で、古くからとがめられているからだと言われています。長屋や一戸建てで育った日本人は、隣近所に迷惑をかけているという感覚が少なく、重量床衝撃音の基準も定められました。
重量床衝撃音の改善は、コンクリートスラブの剛性をアップさせるしか方法がなく、コンクリートスラブ厚さを20cm以上にすることや、ボイドスラブを採用することで、床の遮音性能をアップさせることが出来ます。重量床衝撃音の改善は、生活習慣を改善するしか有効な対策はなく、家の中を走り廻らない等の対策が重要です。また、大人が歩くときに、カカトからどんどんと歩くと下階への騒音となるため、ルームシューズやスリッパを履くことも、有効な対策になります。
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