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外壁タイル剥離に対するあるゼネコンの誠意ある対応

執筆者の写真: 快適マンションパートナーズ 石田快適マンションパートナーズ 石田

更新日:2023年7月7日



 ある管理会社から、「台風時に外壁タイルが剥落した。第三者として管理組合への報告およびゼネコンとの対応支援をして欲しい。」との依頼がありました。


 築10年9カ月のマンションで、台風時に東面の外壁が1㎡程度剥離して落下したという事故でした。タイルの剥離部分を確認したところ、タイル下地のコンクリート部分に目荒らしが実施されていなかったことが主原因でしたが、建設当時には、タイル下地の目荒らしは基準化されておらず、直ちに違法とは言えない状況でした。

 管理会社およびマンションの理事会メンバーと打合せをおこない、費用はかかるものの、ロープアクセスによる外壁の全面打診を行い、施工不良が疑われる部分については、ゼネコンに無償での修理を依頼するという方針を決定し、全面のタイル打診調査を実施しました。

 調査費用は110万円ほどかかりましたが、築年数が約11年ということで、大規模修繕工事実施前の劣化診断を前倒しするということで、管理組合には費用捻出を納得してもらいました。


 調査の結果、タイルの浮き率は8.17%となり、BELCA(ロングライフビル推進協会)基準に当てはめた6.45%よりも、1.26%タイル剥離面積が多いという結果となりました。元施工のゼネコンと交渉したところ、BELCA基準を超過した部分は無償修理を行うとのことでしたので、今後、タイル剥離が進行すると、タイルの落下が心配される東西南面の100枚超タイルが浮いている部分の修繕をゼネコンに要望として提出しました。(8368枚:41.84㎡:浮き率2.02%)


 ゼネコンはデベロッパーに継続的に工事を受託していることもあり、また、今回のマンションが築10年9カ月と、築10年を超えて、間もない物件であったためか、管理組合の要望を100%了承いただき、無償にて修繕する方向で話がまとまりました。


 一般的には引渡から10年を超えると不法行為がない限り、ゼネコンにも法的責任が生じないため、一切要望を聞いてきれないケースも多くあります。今回は、たまたま良識あるゼネコンと、管理組合の要望とBELCA基準を超えた部分のタイル剥離の面積との間に、数量の乖離が少なかったために、ゼネコンシ社内での決済が通りやすかったのかもしれません。

 タイルの落下という不幸な事故があった物件でしたが、事故もなく、また、事前にタイル落下のおそれのある部分の修繕も行えたということで、逆に考えればラッキーな結果となった案件でした。


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