
マンションでは地震などの災害にそなえて、平時から災害発生時などに円滑に対応できる準備を整えておくことが重要です。地震などの災害が発生したときは、管理組合が住人の安否を確認することからはじめますが、そのためには管理組合で事前に居住者名簿を整備しておくことが必要です。実際に有効な名簿とするために、理事会の業務として定期的に居住者名簿を更新しておくことも大切です。
名簿を作成する場合には「災害発生時以外には閲覧しない」などの一定のルールのもとマンションの住人から自己申告で情報を収集します。こうした管理組合が管理する名簿のことを一般的にマンションにおける「居住者名簿」と呼んでおり、「区分所有者の名簿」とは目的や用途が異なります。居住者名簿は、マンションの住人の実態を管理組合が把握するために欠かせない資料となります。
過去の大震災発生時には居住者名簿を整備していなかったマンションでは、マンションに「誰が住んでいるのか」「誰を助けたらよいのかわからない」といった事態により混乱が生じました。また、地震の後に「マンションの修理」「建て替え」の手続きに総会での決議が必要となっても、連絡先がわからず総会の開催が困難となりました。
こうした事態にそなえて、住人のプライバシーは最大限尊重するとしても必要最低限の連絡先などは管理組合として把握しておく必要性があります。
記載事項
(1) 部屋番号
(2) 居住者の氏名 (オーナー・賃借人の別)
(4) 入居年月日
(5) 居住者全員の氏名、続柄、年齢
(6) 各居住者の緊急連絡先(携帯電話、勤務先・学校の連絡先等)
(7) 居住者以外の緊急連絡先(親族等):一人暮らしの人は必ず記入
(8)災害時の要支援の有無
(9) その他特記事項:病気等で自宅療養中の場合は、かかりつけの病院・医師名など
個人情報の取扱いについて
居住者名簿の取り扱いについてはプライバシーや個人情報保護法などに配慮したルールを策定することが重要です。外部に情報が流出しないように施錠できる保管場所での管理や、閲覧する場合の手続き等はルールにすべき基本的な遵守事項です。保管場所については、厳重に保管するほか、万が一の際に居住者名簿を取り出せなくては意味がないため、管理人室に保管する場合等は、その鍵の管理方法まで検討する必要があります。
運用例
居住者名簿を次の各号に掲げる目的のために利用するものとし、他の目的に利用してはならないものとする。
(1) 災害発生時における住居者の安全確認と連絡
(2) その他理事長が理事会の決議を経て必要と判断した業務の遂行
名簿の閲覧
・名簿を閲覧する必要がある場合は、理事長の許可を得て閲覧するものとする。
・理事長は、区分所有者または利害関係人、若しくは警察等の公的機関の理由を付した書面に よる閲覧請求があった場合は、理事会の決議を経て閲覧させることができる。ただし、閲覧を 拒否する正当な理由がある場合は、閲覧を拒否することができる。
・理事長は、前項に掲げるほか、災害等の発生および法令の定めがある場合にはその定めに従い、居住者等名簿を閲覧に付すことが居住者等の利益に資すると判断したときは、理事会の決議を経て居住者名簿を閲覧させることができる。
・名簿の閲覧を許可したときは、日時、閲覧者名、閲覧目的を記載した記録を作成する。
・名簿閲覧の際は、理事長が指名する理事または組合職員が立ち会うものとする。
・名簿閲覧に際してはメモ書き程度とし、コピー、カメラ撮影等の使用を禁止する。
マンションによっては、総会議案書の出欠欄の裏面に、居住者情報を毎年記載して、提出しているマンションもあるそうです。あとはその用紙をまとめてファイルに綴じるだけで、居住者名簿は作成できます。大げさに考えずに、習慣化すれば良いと思います。
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