2021年7月31日付けの朝日新聞の表題の記事を紹介します。
「ののちゃん この前、友だちの家のマンションに遊びに行ったら閉じ込められちゃった。
藤原先生 何があったの?
のの 帰ろうとしたら玄関のドアが全然開かなくなっちゃった。みんなで押して、やっと開いたけど、
「フォン」ってすごい大きな音が鳴ったよ。入るときには軽く開けられたのに。
先生 家にいるときは、窓を閉め切っていたの?
のの うん。
先生 もしかして、換気扇を使っていたんじゃない?
のの そうだよ、よく分かるね。ケーキを焼いてくれたから、換気扇はずっと動いてたよ。
先生 なるほど。ドアが重くなった理由がわかったよ。
のの 一人でうなずいていないで、何で重くなったのか教えてよ。
先生 失礼。じゃあ、まず換気扇って何をしている機器かわかる?
のの 料理のときなんかに、においを外に出すために使うよ。
先生 そうね。においはどう流れていくのかな。
のの そりゃ空気にのって流れていくんでしょ。
先生 ということは、閉め切った部屋で換気扇を使うと、中の空気はどうなるでしょう?
のの どんどん減っていくよ。
先生 その通り。マンションの多くは鉄筋コンクリート造りで空気を通しにくく、すき間もほとんど
ないから、換気扇を使うと空気は出ていくばかり。中は空気が少なくなって気圧が低くなり、
外は空気が多くて気圧が高くなるよね。空気は気圧が高い方から低い方に流れるから、
気圧が低い室内からみると、空気に押しつけられてドアが重くなるんだよ。
のの 開けた瞬間の大きな音は、空気が一気に入ったからかな。
先生 正解。ドアを開けたすき間に多くの空気が流れて、中と外の気圧が同じになったの。横に
開閉する窓や引き戸だと、開けにくい理由は空気の重さというより、空気に押されたサッシ
がわずかに曲がるからだと考えられるよ。
のの 防ぐ方法はあるの?
先生 気圧の差ができないようにすればいいんだ。換気扇を使うときには窓を少し開けておくか、
通気口が設置されていれば、それを開けておくことだね。
のの 部屋全体の換気が大事ってわけだね。新型コロナウィルスの感染防止対策にもなるしね。
先生 換気扇をうまく使うと、もしも感染して自宅で療養するときに、同居する人へ感染させにくく
することができるよ。
のの どういうこと?
先生 一方通行となる気圧差を生かすんだ。療養している人が過ごす部屋では、窓を閉め切って
廊下はビニールカーテンをぴったり留め、換気扇を動かして気圧を下げる。カーテンがたわ
めば、空気は他の場所に流れてこない。簡単な作りだけど、病院で感染対策をしている
病室と同じしくみだよ。」
大規模修繕工事のコンサルタントをしているマンションでも、入居者の方から、お風呂の換気扇が充分働かないという問い合わせがありました。そのお宅では、エアコンが良く効くようにと、給気ガラリやサッシの小窓を閉にしているとのこと、またリビング側には給気ガラリが設置されておらず、給気不足なマンションのようです。上の記事にもある通り、充分な給気がないと、お部屋の換気はできません。最近のコロナウィルスの感染防止の意味でも、常に窓を少し開けておくことが重要です。
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