
標準管理規約とは、マンションを管理していく上でマンションの最上位のルールである管理規約の雛形を国土交通省が示しているものです。
マンションには守るべき法律として区分所有法がありますが、区分所有法だけでは大雑把すぎてマンションの生活が定められないため、こまかな規定を国土交通省がモデル規約としてまとめています。各マンションは、自分のマンションの規約を改正する際に、標準管理規約をベースに、各マンションの実情にあわせて内容を訂正し、総会の特別決議を経て、各マンション毎の管理規約を制定します。
標準管理規約は昭和57年に初めて作成され、それ以降、改正が重ねられています。
昭和57年:建設省(現国土交通省)が関係業界団体等に対し、指針として中高層共同住宅標準管理規約を活用するよう通達
昭和58年:・占有者に関する規定の追加
・敷地及び共用部分等の変更の要件緩和
・建替え決議の追加等
平成9年:・適切な大規模修繕工事を行う指針としての長期修繕計画の作成を管理組合の業務と
位置付け
・駐車場の使用・専有部分のリフォーム等マンションの使用に関する規定の追加
・団地タイプや店舗併用マンションが増えてきたことから、団地型・複合用途型標準管理
規約の追加等
平成16年:平成13年8月に「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」(マンション管理適正化法)、平成14年12月に「マンション建替え等の円滑化に関する法律」(建替え円滑化法)の施行、そして平成15年6月に区分所有法が改正されこれらの法制度充実が図られたこと、また、マンションを取り巻く情勢も更なる変化が生じていること等を踏まえ改正されました。この改正より「マンション標準管理規約」と”マンション”という言葉を冠し発表されました。
・マンション管理における専門的知識を有する者の活用に関する規定の新設
・建替えに関する規定の整備
・決議要件や電子化に関する規定の整備
・設計図書の管理、修繕等の履歴情報の整理及び管理、コミュニティ形成等業務の追加
・未納管理費等の請求に関する規定の充実等
平成23年:・役員の資格要件の緩和
・理事会権限の明確化
・総会時の出欠票における議決権行使書、委任状の取り扱いの整備
・管理組合財産の分別管理等に関する整理
・長期修繕計画書等の書類等の保管等に関する整理
・共用部分の範囲に関する用語の整理
・標準管理規約の位置付けについて整理
平成28年:マンション居住者の高齢化等を背景とした管理組合役員の担い手不足、管理費滞納等による管理不全、暴力団排除の必要性等様々な課題が指摘されており、これらの課題に対応した新たなルールの整備が求められていたこと等を受け、今回の改正が発表されました。主な改正内容は以下のとおりです。
・外部専門家の活用
・駐車場の使用方法
・専有部分の修繕工事等
・暴力団等の排除規定
・管理費等滞納に対する措置
・災害発生等の場合の管理組合の意思決定
・緊急時の理事長等の立ち入り
・コミュニティ条項の再整理
・理事会の代理出席等
平成29年:民泊が一般的になってきたことを踏まえ、平成29年の改正を受け、民泊禁止をうたった規約改正が多くのマンションでなされました。
・民泊対応に関係する改正
平成30年:・マンション敷地売却に関係する改正
令和3年:コロナ対応を含めた改正が実施されました。
・ITを活用した総会・理事会
・マンション内における感染症の感染拡大のおそれが高い場合等の対応
・置配
・共用部分と専有部分の配管を一体的に工事する場合に、修繕積立金から工 事費を拠出
するときの取扱いを記載
・管理計画認定および要除却認定の申請
・総会の議事録への区分所有者の押印を不要とする改正 等
令和6年:・組合員名簿等の作成・更新の仕組み
・所在等が判明しない区分所有者への対応
・修繕積立金の変更予定等の見える化
・管理に関する図書の保管の推進
・EV(電気自動車)用充電設備の設置の推進
・宅配ボックスの設置に係る決議要件の明確化 等
以上のようにマンションのルールも時代の変化に合わせて変わってきています。
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