先日、マンションの大規模修繕工事の建物調査を行った物件で、入居者の方から隣戸との間の壁にクラックが入っているという相談がありました。壁紙にななめにクラックが走っており、一部壁紙が剥がれた部分もあります。入居者の方からマンションに問題ないか?という問い合わせでしたが、実はマンションの最上階や最下階の界壁で良く発生する現象です。
この現象は、熱割れと言われる現象で、良くあるのは最上階の界壁に斜めにひび割れが出てくる現象です。
原因は、最上階の屋根からの熱が、最上階のコンクリートに伝わり、柱・梁の熱による伸縮に、壁のコンクリートが追随できず、起こる現象です。コンクリートは内部の水分が蒸発することで収縮する性質がありますが、最上階は特に屋根面の太陽光からの熱が多くコンクリートに入ってくるために、ひび割れが多く発生する傾向にあります。
補修するためには、部屋内の壁紙を剥いで、エポキシ樹脂等を注入することですが、補修しても時間が経ってくると、またひび割れが発生するケースが多いです。
最近のマンションでは、熱割れの発生しやすい隅角部に補強鉄筋を入れてもひび割れが発生する可能性が高いため、界壁のコンクリートの上に、もう1枚壁を施工するケースが増えています。ただし、二重壁とすると、その分部屋が狭くなることと、タイコ現象が発生し、隣戸との遮音性能が落ちる場合があり注意が必要です。
屋外に発生するひび割れであれば、雨水が室内に入ってきたり、内部の鉄筋が錆びたりという問題がありますが、室内のひび割れは、そのような問題もなく、また対策するにしても、住戸内の壁紙をはがして対応する必要がある等、管理組合としては、対応が悩ましい問題になります。
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