私が会社員時代にマンションの設計をしていた30年前の話です。20m・31m・45m・60mとは、マンションの高さを表しています。マンションの階数で言うと、7階・11階・15階・20階に該当します。マンション用の土地を購入する際に容積率を充分に活用できるかボリュームチェックという基本計画を行いますが、その際には上記、7階・11階・15階・20階を意識して計画していました。何故、この階数を意識していたかというと、階数によってマンションの構造形式が変わり、建築費も変るからです。
7階(高さ20m)以下:RC造(鉄筋コンクリート造)・構造計算はルート1
11階(高さ31m)以下:1部SRC造
(低層階部分は鉄骨・鉄筋コンクリート造+上階は鉄筋コンクリート造)・構造計算はルート2
※高さ31mは、昔の「100尺」に該当し、東京駅前の丸ビルの高さが100尺であったこと
から、現在でも高層ビルの基準として残っています。
15階(高さ45m)以下:オールSRC造(全階鉄骨・鉄筋コンクリート造)・構造計算はルート3
19階(高さ60m)以下:非常用エレベータ・高層階スプリンクラー設置・構造計算が構造評価が必要
20階(高さ60m)以上:構造計算が大臣認定が必要・時刻歴応答解析・一般的に超高層マンション
と呼ばれる
分譲マンションの価格は、構造躯体のコンクリート量や鉄筋量で大きく左右されるので、郊外のマンションであれば7階以下のRC造で、街中でも可能であれば11階以下で計画することが多かったです。高さが低いと工期も短くなるので、より安く作ることができます。
高強度コンクリートや高強度鉄筋が採用されるようになってからは、超高層マンションでもRC造(鉄筋コンクリート造)での建築が可能になってきましたが、高層になると、構造認定が複雑になることや、防火対策等が追加で必要になることから、建築費がアップすることになります。
街中に建っているマンションを見てみると、結構この高さに収まっているマンションが多いのに気が付くと思います。見方を変えると、マンションの見え方も異なってきます。
Comments