
コンクリートやタイル張りの目地の部分から、白い粉を吹いたような物質が出てくることを「白華(ハッカ)現象」・「エフロレッセンス」・「エフロ」と呼びます。
白華の原因となる主な成分はコンクリート(セメント)に含まれる水酸化カルシウム Ca(OH)2です。水酸化カルシウムがコンクリート表面で二酸化炭素 Co2と反応すると、炭酸カルシウム CaCO3になります。
コンクリート中の水酸化カルシウムが、コンクリート内の水分とともに溶け出し、空気中の二酸化炭素と反応して出来ていたのが白華現象です。鍾乳洞の天井からぶら下がる鍾乳石と同じようなものと考えてもいいかもしれません。実際に、お客様から指摘のあったマンションでは、バルコニー天井からの白華が、鍾乳石のようにぶら下がった状態になっていました。
身近な炭酸カルシウムとしては、貝殻、サンゴなどがあり、食品添加物としても使用されています。そのため、白華を触ったりしても人体への影響はありません。また、白華がコンクリート表面に発生したとしても構造物の強度が低下することはありません。つまり、白華がコンクリート表面に発生する問題としては「見た目」だけということになります。
上記のように見栄え以外、特に問題ない白華現象ですが、白華現象が発生している部分には、必ずコンクリート中に漏水が発生しています。この漏水は放っておくと、室内への雨漏りやコンクリート内の鉄筋を錆びさせるおそれもあり、原因を追究して、防水対策を施す必要があります。
白華の出ている部分を良く観察し、コンクリートにひび割れがある場合や、白色以外に茶色のサビ汁が出ている場合等は、内部の鉄筋が錆びている可能性が高いので、早急な対応が必要になります。
先日問い合わせのあったマンションでは、樋の廻りの天井に白華現象が出ていました。上階の床には長尺塩ビシートが施工されていましたが、シートの端部には、シーリングが施されておらず、そのシート端部からの水が、コンクリート内に浸透したものだと思われます。改修工事では、長尺塩ビシートを施工した場合はシートの四周にシーリングを施工しますが、新築工事では、塩ビシート端部にシーリングが施工されていないケースもあります。
大規模修繕工事では長尺塩ビシートの他部材との取合部は必ず、シールを施工することと、できれば天井裏の塗料の色は、あまり濃い色を選択しないほうが、白華が目立たなくなります。
長尺塩ビシートの端部シールの有無や、天井のリシンの色等から、マンションデベロッパーのマンション作りへの配慮の程度もわかってきます。

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