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  • 執筆者の写真快適マンションパートナーズ 石田

「老マンション」理事長奔走期

更新日:2023年3月3日



 日刊現代デジタルから表題の記事の抜粋を紹介します。


熱くなっているの私だけ? 新宿区主催の交流会に参加してハッとした



 築40年以上のマンション理事会経験者に取材して見えてきたのは「己の勉強不足」だった。ゴミ収集場を浄化したくらいで威張ってはいけない。文句を言う前に、しっかり調べて勉強しなければ。  まずは新宿区の広報を鬼の形相でチェックしたところ、「マンション管理組合交流会」なるものが開催されることを知った。これは有益な情報が入手できるかも! 早速、都市計画部住宅課に申し込んだところ、丁寧な対応で入場券が送られてきた。

 交流会当日、チャリンコで意気揚々と風切って会場(区の施設)へ向かう。会場内をざっと見渡すと、参加者は100人弱といったところ。頑固そうな老人も多いが、私より若い人の姿も案外多い。嗚呼、私だけじゃない! みんな悩んでいるのね!? 会話はしないが、心はひとつ、と勝手にシンパシーを抱く。

 交流会というものの、専門家が登壇するパネルディスカッション形式。質疑応答がないのも、コロナ禍での配慮。過去の交流会は参加者が闊達に意見交換をする場だったようだが、逆にいいと思った。話がとっちらかってる上に長い爺さんが延々と熱弁振るうのを聞かされても困るしな。


 第1部では管理組合運営、第2部では大規模修繕とテーマを設け、マンション管理士や1級建築士が事例も交えて話してくれた。第1部の内容は、もううちのマンションの話? と思うくらい。「それな!」感が満載。相談が多いのはこの3点だという。 (1)管理会社への不満 (2)理事会のなり手不足 (3)修繕積立金不足  仕事をしない管理会社が実に多く、管理業務委託契約書や重要事項説明書の見直しをしたほうがいいという話も。要するに「文句を言う前に書類を見直せ」ということだ。実は、2年前に大手管理会社が50戸以下の小さいマンションとの管理委託契約を大量に切ったそうだ。管理会社としてはタワマンなど規模の大きなマンションのほうが利益率も高く、理事会も機能しているからなのか。自主管理に移行せざるを得なくなった小規模マンションもあるらしい。今は、強気な管理会社の売り手市場なのだとか。  どんなに動きの悪い管理会社であっても、突然契約終了となったら、住民は困るわなぁ……。うちのように理事会が機能不全のところはなおさらだ。でも切られるのが怖いからといって、怠惰で強欲な管理会社の言いなりになっていて、果たしていいのだろうか……?

 ふむふむと聞いていたのだが、マンション管理士のひとりが発した言葉にハッとさせられる。 「管理会社への不満で相談に来る理事さんは多いが、果たしてそれがマンション全体の意向かどうか。その方の個人的な考えというケースも比較的多いので、ぜひ、理事会なり住民アンケートなりで、意見をまとめるところから始めてください」  確かに。熱くなっているのは私だけだ。


マンション管理「無料相談会」で開けちゃったパンドラの箱



 新宿区のマンション管理組合交流会に参加し、自分のやるべきことが明確になった気がした。問題点をある程度まとめて、理事の皆さんに共有してもらわなければいけない。  交流会は相談が多い事例をベースに話をしてくれたのだが、正直、私の知識レベルが低すぎて、大規模修繕に関する話にはついていけなかった。改めて思うのだが、ずぶのド素人に、建物や工事の話がわかるわけがない。  以前、取材したS区の板倉さん(管理会社を変更し、管理コンサルを導入した)も、組合の立場に立つ専門家がいれば安心だと言っていたっけ。そうだ、うちも専門家を巻き込めばいいのか!

そう思って、有名なマンション管理コンサル会社の資料を取り寄せる。具体的な金額は明記していないが、メール対応も迅速で、印象もよかった。  しかしだな、我がマンションは貧乏所帯。修繕積立金も不足しているのに、さらにコンサル費を捻出することには理事たちも懸念を示すだろうな。  まずは無料相談からだ。新宿区では毎月2回、区役所で「マンション管理相談」を行っている。予約制で、個別の相談に乗ってくれるという。電話したところ、予約がとれるのは1カ月以上先。ただし、この他にも区役所の1階で、隔週無料相談会もやっているとのこと。

 個別相談の予約も入れつつ、無料相談会にも行ってみることに。おそらく行列ができていて、待ち時間も多いだろう。さらには相談できる時間も少ないと思い、質問内容を簡潔にまとめる。冷やした麦茶を入れたポットを抱え、保冷剤を首に巻いて、いざ出陣!  区役所1階の入り口横に、黄色いのぼりが立っている。そこにアクリル板を設置した長机という簡素な会場があった。開始時間に一番乗りしたので、他に相談者もいないようだ。  話を聞いてくれるのはマンション管理士や1級建築士、弁護士ら。これだけの専門家揃いなのに、皆ボランティアだそうで。なんてありがたい。高い区民税を払っていて、初めて報われた気もする。  そこにいたのは交流会でも登壇していたマンション管理士だった。我がマンションの問題点を話すうちに、つい熱を帯びてしまう。重要事項説明書などの資料を持ち込み、ゴミ捨てと管理不全の問題、そして理事のなり手がいない問題を相談する。 ■「この管理会社は…」

 「組合運営費として月4万円も管理会社に払っているけれど、理事会も総会も年1回でしょ? 何のお金?」「管理員の勤務時間が減ったのに、管理員業務費が変わらないのはなぜ?」──。プロの目で見てもらうと、おかしな点が次から次へと噴出。管理会社の名前を伝えると、「あー、ここの相談は多いんですよね……」とな。  悪評が高いのはうっすら知っていた。ネットでも管理会社ワーストランキングに必ず入っている。  これはヤバイな……。パンドラの箱を開けちゃった気もした。


管理士派遣を通知すると…調子のいいエリンギからの連絡が途絶えた

 無料相談会でつい話し込んでしまい、気が付けば1時間ほどたっていた。マンション管理士をすっかり独占しちゃったよ! ふと隣を見ると、相談に来た人がいつの間にか増えていた。外国人で深刻なようだった。相談者は皆、一様に熱を帯びて、声も大きくなっていく。 「マンション管理相談員派遣制度というのがあって、年3回まで無料でマンション管理士らの専門家を呼ぶことができますよ。今度の理事会か総会で一度来てもらったらどうかな? 7階の住宅課に行って今すぐ申請したほうがいいかも」とアドバイスをもらう。

 住宅課に向かい、職員に話すうちに、また熱を帯びてしまう。無料派遣の申請を済ませた後、「ちょうど明日、長期修繕計画に関する無料セミナーもあるから、参加してみますか?」と誘ってくれた。1級建築士の方が講師という。それも参加することに。こうなったら全部行ったるわい!しかし、マンションの改革にやる気はあるのだが、私には仲間がいない。その愚痴を漏らすと、職員が励ましてくれた。 「あなたと同じように最初はひとりで孤軍奮闘だったけれど、ちゃんと管理状態を改善できた女性がいましたよ。大丈夫!」


 今回の無料相談で学んだのは、提案するにも数字なり判例なりの根拠が必要だということ。何をどう変えたいのか、明確に示すこと。提案書を作ろう。めったに使わないパワポで、自分なりの提案書を作ってみることに。  ちょうど管理会社のエリンギ(筋肉質の担当フロントマン)から連絡が入った。「マンションのエントランス部分に電動キックボードのポートを設置する話が来まして。まずは理事長にお伺いを、と思いまして」と言う。最近、都心部で増えている緑色のシェア電動キックボードのようだ。

「マンションの収入になるなら悪くないと私は思う。ただ、汚れたり荒れたりするのを嫌がる人もいる。収益の見込みも含めて、理事会で提案してみてください」と伝えた。

 また、前任者の豆苗(ひょろっとしたヤツだったので)からの引き継ぎ案件として、区分所有者へのアンケートも再度依頼した。修繕積立金の値上げについて、理事会だけで決めるのはよくないと思ったからだ。エリンギは調子よく「わかりました。今月中に送付すれば、来月の理事会に間に合いますね!」と電話口で言っていた。

「あ、そうそう、この前ちょっと電話で話した件だけど、新宿区がやっているマンション管理士無料派遣、申請したので、理事会に来てくれることになりましたから。よろしく」と報告もした。  念のためエリンギに申請書をメールし、「ついては、管理規約・細則、長期修繕計画書、修繕工事履歴、重要事項説明書を、理事会のときにそろえておいてください」と伝えた。  その後、エリンギからの連絡がぷつりと途絶えた。


理事会の期日が迫るも…管理会社の担当が引継ぎなしで消えた

 パワポで提案書を作り始めるも、改善要求が多すぎてうまくまとまらない。頭の中を整理し、項目でまとめ、図形をあしらい、一目でわかりやすいよう工夫をした。文字が小さすぎると老眼の人は読めないから、最低でも14ポイントにする。  そういえばエリンギに頼んだアンケート、まだきてないな……。ちょっと感情的な文章になってるかな……。やり始めると止まらず、仕事にも支障を来し始めた。ウェブの原稿で数社に企画を提案しなければいけないのに、手つかず。このままでは仕事がなくなっちゃう!

 一度草案を作って、再度無料相談会で専門家に見てもらおう。やや感情的な提案書草案を持って、再び区役所へ。前回とはまた別の管理士が私の提案書に目を通してくれる。 「要するに私はこんなにやってるんだ! ってことが言いたいのね」と笑いながらも、親身になって話を聞いてくれた。 「本来ならこの印刷代や紙代だって請求していいんだけどね。これ、あなたの自腹でしょ? 時間もかかってるわけだし」  また、1級建築士も見てくれた。

「コストカットできる部分もあると思う。エレベーターが新しいのに、フルメンテナンスが必要かどうか、とかね。管理会社を通さずにエレベーター会社と、じかでメンテナンス契約をすれば、ここはもっと少なく済む」  指摘してもらうたびに思うのは、私自身がわかっていないことが多すぎる。現在の契約の詳細を聞かれて、答えられない項目も多い。ホント管理会社任せにしてきたんだよな、私自身も。反省。  アドバイスをもらった部分をブラッシュアップし、感情的な部分を抑えて冷静になろう。理事会の期日は迫ってきている。最終的には、理事会前日に仕上げの相談(予約した相談会ね)に行こう。 ■1年半で豆苗もエリンギも消えた

 そんな直後、知らない電話番号から着信。携帯電話からだ。出てみると、管理会社の人間だという。 「実は……前任者が退社しまして、私が担当することになりました」  は? 「理事会は13日、総会は翌月24日とうかがっておりますが、24日は1日予定が入っておりまして……」

 というか、区分所有者へのアンケートはどうした? 「前任者からは聞いておりません……」  電話を切った後、絶叫。「ふざけんなーーーッ!!」  80デシベルの音量で2回。猫2匹が飛び起きた。  この1年半の間に担当が2回も代わったんだよ? なめてんのか? 1年もたたずに豆苗が消え、半年もたたずにエリンギも消えた。マンション管理士の言葉が再び脳裏に浮かぶ。

「管理会社への不満はその方の個人的な考えというケースも比較的多いので……」  取材で聞いた、管理会社に執拗な電話攻撃をする厄介な理事の話も思い出した。え、これって私が原因!?  いや違う。エリンギは逃げたのだ。管理士にやましいところをつつかれると思ったのではないか。後任に会うのは1週間後の理事会である。首を洗って待ってろと思った。」


 このブログにもあるように、調べてみると行政とタイアップしてマンション管理について無料相談会やセミナー等を実施しているケースが結構あります。自分ひとりでは、考えが凝り固まってしまいますが、相談会等で専門家のアドバイスをもらい、また他の管理組合の状況等もヒアリングすることで、自分の組合の問題点や解決策が良くわかります。

 香川県マンション管理士会でも2022年10月から毎月第2火曜日13時~16時に無料相談会を市役所の1階で開催しています。またメールにて、簡単な相談についてもアドバイスを行っています。

このブログの主人公のように、まずは行動することで、新しい局面が開かれると思います。


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