今回は不適切コンサルタントのお話です。
マンションコミュニティ研究会代表の廣田信子さんのブログに不適切コンサルのことが書かれていましたので参考に記載したいと思います。
廣田さんのブログでは、不適切コンサルタントには下記に示す4つの事例があるそうです。
青字の文章は、ブログに対する私の感想を記載しています。
その1 施工会社と結託し、管理組合を食い物にするコンサルタント
違法または商ルール・規範にそぐわないビジネスモデル。管理組合とコンサルタント契約しながら、基本は工事会社からのキックバックねらい。
そのための手段としてコンサル契約を安値で受注し、キックバックの密約がある施工会社を選定するよう管理組合を誘導しようとし、ここに多大なエネルギーを注ぎ込む。
そのために、参加資格を操作し、談合を仕切り、管理組合への情報操作を行う。
キックバックは、工事費の20-30%が相場とも言われている。
→工事費の20~30パーセントのキックバックとは酷いですね。私も会社員時代に数社競合のプレゼン会に出席した折に、当社の見積もりだけが異常に安いと理事会の役員に言われ、手抜き工事を実施する信用できない会社ということで受注に至らなかったケースがありました。今から考えると、管理会社が仕組んだ談合だったと思います。(今でもその管理会社にはいい印象は持っていません。)
コンサルタントが異常に安い金額でコンサル費用の見積もりを出してきた時や、そのコンサルタントが過去に発注した施工会社が数社に限られた場合は注意が必要です。また、施工会社の決定権は管理組合にあります。コンサルタントは助言は出来ますが決定は出来ません。強引に1社の施工会社をコンサルタントが推す場合は注意が必要です。不信を感じた場合はセカンドオピニオンで他のコンサルタントに相談しても良いかもしれません。過去には、不適切コンサルタントが仕組んだ施工会社が受注出来ず、そのコンサルタントは施工監理業務を辞退したという話も聞いたことがあります。
その2.似非コンサルタント
コンサルとしての姿勢が根本的に欠如している。長期にわたる建物維持を本旨とする大規模修繕工事や修繕積立金を、目の前の「商売のタネ」と考え、持っているお金目いっぱいの工事をさせることに傾注する。
コンサル料は先決めが多いので、工事費用を膨らませて、施工業者からのキックバックを稼ごうとする。
値段が比較しやすい基礎的な工事以外の工事を増やし、工事金額の詳細をわかりにくくする。
→内容を見ると、その1とあまり変わらないように思うのですが、その1ほど悪質ではないということでしょうか?修繕積立金が不足しており、借入をしないと大規模修繕工事が実施できないマンションも実際にあります。修繕工事の実施時期を2~3年遅らせて、その間に修繕積立金を貯めることや、必要最低限の実施項目として工事費を削減する等の対応が必要です。
その3.未熟コンサルタント
コンサルの本旨である技術的な知識経験が不足している。資格を有していても、「マンション」の修繕を知らない等で、誤ったアドバイスや単純な間違いが頻出する。
大規模修繕の個別技術の大半は、建材メーカーの手元にあるため、広範な情報収集である程度カバーしている。しかし、工事監理においては担当者の力量不足が顕著に出る。
→設計事務所でも新築の工事監理は得意でも、改修の施工監理はやったことがない設計事務所がほとんどです。既存の材料の上に施工するため、元の材料との相性や、どのグレードの材料を使用するか等、改修工事には改修工事なりのノウハウがあります。作成された仕様書に同じメーカーの商品名が多く記載されている場合は、ノウハウの乏しいコンサルタントが、建材メーカーに仕様書作成を丸投げにしている可能性があります。また、その場合は建材メーカー間の競争ができず、工事費が下がりにくいケースが多く発生します。
その4.バッド・マネージメントコンサルタント
コーディネーション力が乏しく、管理組合の希望を顕在化できない。 設計の進行手順や合意形成への対処が悪く、円滑に進められない。
管理組合にとってマイナスなことも、権力がある人や「大きな声」の人に引きずられて、適切なコンサルティングができないこともある。
→これはコンサルする人の資質の問題でしょうか?管理組合や修繕委員会は多くの人がかかわって意思決定するため、コミュニケーション能力と公平な態度が必要です。アドバイスはするが、最終決定権は管理組合にあることを忘れず、十分な議論ができる資料提供や雰囲気づくりができるコンサルタントが求められます。
まとめ
廣田さんのブログは以下の言葉でまとめられています。
コンサルタントの「不適切」にもいろいろあるのです。
1.2.があって、かなり高額な工事をさせられた管理組合でも、3.4.がしっかりしていれば、あまり問題にはならないものです。
3.4.は担当者の資質によるところが大きいので、会社自体には、1.2.の営業体質があっても、よい担当者に当たれば、大規模修繕工事はそれなりにうまくいきます。
余分に修繕積立金を使わされた「つけ」は、10年以上たって、重くのしかかってくるかもしれませんが…。
不適切コンサルタントは、社会問題化してから、かなり減ってきていると思われます。この不適切コンサルタントに騙される問題を逆手にとって、管理会社主導方式を勧める管理会社もあるかもしれませんが、私が過去に体験した談合は、管理会社が仕組んだ談合でした。決定権は管理組合にあることを、再度認識して、管理組合主体で納得して契約を行ってください。
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