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  • 執筆者の写真快適マンションパートナーズ 石田

マンションより戸建てを買う方が安いのか

更新日:2021年5月7日



 2021年3月28日のNEWSポストセブンの記事を紹介します。


長引くコロナ禍で戸建て人気が続いている。これまで「都心・駅近・新築マンション」といったワードが住宅選びの関心事だったが、いまや通勤の利便性は二の次。「中古でもいいから郊外に広い一軒家が欲しい」といった若い世代も増えているという。果たしてこのライフスタイルの変化は根付くのか──。住宅ジャーナリストの榊淳司氏がレポートする。


 住宅ジャーナリズムの世界に身を置いていると、答えを求められる神学論争的な課題がいくつかある。代表的なものは「分譲vs賃貸」だが、次に多いのが「マンションvs戸建て」である。こういった比較で、どちらが良いのかについて常に問われるのである。


 結論を言ってしまうと、一概に「どちらが…」ということはできない。多くの場合はケースバイケースである。こういった問題に断定的な答えを出しているケースは、ほぼ恣意的な印象操作である。

 答えはないのだ。住む人の価値観の問題である。各自、納得できるほうを選べばよいと思う。ただし、一面の価値観から引き出す答えはある。私の場合は資産価値の優劣で判断している。かみ砕いて言えば、経済的に「得か、損か?」ということだ。借りるよりも購入したほうが安くなるのか。あるいはコストパフォーマンスで判断すればマンションよりも戸建てが優れているか、という視点でなら結論が導ける。


郊外の格安中古戸建てが売れている

 新型コロナの感染拡大は、住宅業界にもちょっとした変化をもたらした。首都圏の住宅マーケットで明解にいえることは、戸建て需要の盛り上がりである。都心エリアを中心にミニ戸建てを主に開発供給する某大手企業の物件は、売れに売れているという。開発する先から売れてしまうので、売り物件が大幅に不足しているらしい。さもありなん、という事態である。郊外の格安中古戸建てもよく売れている。

 木造一戸建てというのは、築22年前後で建物評価がゼロとなる。こういう築古物件が売り出されても、価格は土地だけの評価で決まる。あるいは、取り壊し費用を差し引いた価格になる。だからかなりの格安になる物件も多い。都心へ実質1時間ほどで通勤できるエリアなら、1000万円前後で築古の戸建て住宅が購入できる。そういう物件もコロナ禍で結構買い手がついた。

 こういった特需には独特の特徴がある。あまり高くなると、買い手がつかなくなるのだ。格安の物件を求める人はエリアを選ばない。埼玉でも千葉でも、条件に合った物件を探す。だから「隣の物件が1000万円ですぐに売れたから、ここは1500万円で」と考えて売り出しても、そう簡単には買い手がつかないのだ。


「ミニ戸建て」の仕入れ価格は約600万円

 同じようなことは新築の住宅市場でもいえる。


 新築マンションの売り出し価格を決めるためには、ある程度の下限がある。つまりは原価。首都圏における新築マンションの建築コストは、1戸当たり2200万円くらいはかかる。日本で最も多くのマンションを建設している某建設会社が得意とする単純な設計の大量生産型でも、1戸当たり2000万円を切れるかどうか、というレベルになる。つまり、新築マンションは土地がタダ同然でも、首都圏では販売価格が3000万円未満とすることはかなり困難なのだ。


 ところが、ミニ戸建ての建築費はそこまでかからない。大手パワービルダーの上物仕入れ価格なら1棟あたり約600万円。信じられないくらいの低価格だ。床面積あたりの土地の値段が同額であれば、当然ながらマンションよりも戸建て住宅のほうが販売価格は安くなる。

 マンションよりも戸建てのほうが安い。今、そういうことが大都市圏では起こっているのである。これは20年前なら考えられなかったことである。


 だが、新型コロナの感染拡大によって、住宅市場は変わった。テレワークの普及は一般的なサラリーマンにも「自宅で個室」を必要とさせた。戸建て住宅は、いかにもテレワーク向きである。ミニ戸建てであっても3階の自室でリモート会議に参加すれば2階か1階にいる小さな子どもに邪魔をされることはない。少なくともドアを閉めておけば、一時的には防ぐことができる。こういうニーズによって2020年は、都心周辺でミニ戸建てが爆発的に売れた。


タワマン生活は「憧れ」ではなくなった

 注目すべきは、今後もこの流れが定着するかどうかである。

 かつてマンションは戸建て住宅が買えない人が消去法で選ぶ住形態であった。ところが最近では「戸建てよりもマンションに住みたい」という価値観が主流になった。特に全国各地でタワーマンションが大量に供給される時代になると、「憧れのタワマン生活」的な発想が一般的になった。

 しかし、コロナ禍がこういった流れに変化をもたらしたかもしれない。その証拠に、テレワークが普及し出した2020年の春以降、住宅選択の基準の中で「広さと部屋数」が強く意識される傾向がはっきりと窺える。それを満たすのは、マンションよりも戸建てである。


2019年10月に襲った台風19号は、神奈川県川崎市の武蔵小杉エリアにある1棟のタワマンに浸水被害をもたらした。電気や上下水道が一定期間使えない状態にしてしまったのだ。エレベーターが動かず、トイレが流せないタワマンは生活できない鉄筋コンクリートの箱でしかない。その現実を多くの人に認識させてしまったのである。実のところタワマンは災害に弱い、というのは偽らざる真実である。人々にはそういう記憶も新しかったのであろう。そしてコロナ禍がやってきた。

 さらに、今年は2月13日に発生した福島沖を起点とする地震で、首都圏でも多くのエリアで停電が発生した。エレベーターが一時的に停まったマンションも多かった。マンションの地震への脆弱性を改めて浮き彫りにしてしまったのだ。

 コロナ禍が始まって1年以上が経過した。首都圏における戸建てへの需要はいまだ衰える気配を見せない。今また、マンションから戸建てへの逆回転が始まったのかもしれない。


 私がマンションの設計をしていた30年くらい前は、マンションの建設原価は戸当たり1000万円程度でした。それが今では2000万円程度になっています。一方で一戸建ては以前から変わらず原価1000万程度、この記事によるとパワービルダーは戸当たり600万程度で建てていることになります。都内ではマンション価格が高騰し、相対的に戸建て住宅が安くなっているのも人気の要因だと思います。コロナ過で、街中に住む必要がなくなってきたことが、より戸建て人気を高めているのではないでしょうか。

一戸建てであれば、駐車場代や管理費・修繕積立金を払う必要もなく、また隣近所からの騒音の苦情もありません。子育て世代等で、立地さえ気に入れば、戸建て購入も良いのでは思います。


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