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  • 執筆者の写真快適マンションパヌトナヌズ 石田

修繕積立金倀䞊げに察するネガティブな質疑

曎新日2022幎10月24日



 2022幎7月14日、「マンションみらい䟡倀研究所」が「管理組合は修繕積立金を倀䞊げできるか。積立金の倀䞊げ議案に察するネガティブな質疑の6類型」ずいうレポヌトを発衚したした。

 今回の調査は、2015幎8月から2021幎7月たでの6幎間に積立金の倀䞊げを総䌚の議案ずした1,694組合3,316議案のうち、無䜜為に1,086組合調査率642,531議案調査率76を抜出し、その内容を調査したものです。  分析結果から、「倀䞊げに察しおネガティブな意芋を述べた区分所有者の発蚀内容を分類し、適切な積立金の倀䞊げに぀いお合意圢成を図るにはどのようにしたらよいかを考察し、総䌚前に準備できる質疑応答ぞの察応策をたずめた。」ずありたす。


以䞋に結果を瀺したす。


1.質疑応答の有無

 積立金の倀䞊げ議案に぀いお、議事録に「特に質疑応答はなく、原案通りに可決された」等の蚘茉がある議案は483件19、䜕らかの質疑応答がある議案は2,048件81であった

図1参照。



2.質疑の内容

 䜕らかの質疑応答の蚘茉がある議案2,048件の質疑の内容は、図2のずおりである。




3.ネガティブな質疑の6類型

 さらに質疑は、議案に察しおどのような立堎で発蚀されおいるのかにより分類するこずができる。特に倀䞊げに察しおネガティブな発蚀では、同じ質疑の内容でも、誰に向けられた質問や意芋なのか、どのような質問圢匏なのかによっおそれを受けた議長や議長の指名する者の回答が異なっおいる。  こうした質疑応答の圢匏に぀いお分析したずころ、代替案提案型、自己䞻匵型、理事䌚批刀型、管理䌚瀟批刀型、売䞻批刀型、他者代匁型の6類型に分類されるこずが分かった図3参照。



 それぞれの類型における特城的な発蚀は衚2の通りである。



4.ネガティブな質疑の6類型ず他の区分所有者ぞの圱響

 総䌚議事録を読んでも、盎接、発蚀者の感情の匷匱が掚枬できるわけではないが、ネガティブな意芋の堎合、議事録の文脈から感情を読み取るこずはできる。「怒り床」ずもいうべき感情の匷匱ず、他の区分所有者の質疑ぞの圱響床合いをむメヌゞ図に衚すず図4のようになる。



 自己䞻匵型は議事録の文脈から発蚀者本人の「怒り床」は䌝わっおくるが、具䜓的な根拠がないこずから、その埌の総䌚の審議においお他の区分所有者がその発蚀に远随する可胜性は䜎いだろう。  管理䌚瀟批刀型、売䞻批刀型、理事䌚批刀型はいずれも他者に察する非難を軞ずする発蚀である。その䞭でも管理䌚瀟批刀型は「怒り床」が高く、他の区分所有者がそれに远随する傟向がある。総䌚の堎に出垭しおいる䞭で、「倀䞊げ」ずいう共通の問題に察し、管理䌚瀟だけが郚倖者であり、か぀䌁業ず顧客ずいう関係の䞭で「批刀しやすい」存圚であるこずが拍車をかけおいるのだろう。  理事䌚批刀型は、理事長から質疑に察しお䞁寧な説明がされれば、そのたた終了しおしたうこずが倚い。同じ区分所有者同士でもあり、面ず向かっおはなかなか蚀いにくいずいうこずもあるのだろう。  他者代匁型は、自己䞻匵型の䞻語を「私は」から「他の区分所有者の方は」に倉換した圢である。「高霢の方は」「厳しいご家庭の方は」等、別の立堎を代匁する圢で発蚀をしおいるため「怒り床」は䌝わっおこない。䞀方で、他の区分所有者を䞻語ずしながらも、実際は、本人の隠れた本音を第䞉者的に発蚀しおいる可胜性もある。  代替案提案型の発蚀は最も他の区分所有者にも圱響しおいるず考えられる。代替案の実珟可胜性が高く、建蚭的な提案である堎合は、その埌の総䌚も建蚭的に終了しおいるが、非珟実的か、たたは実珟できるにしおも盞圓の時間を芁する提案である堎合は、議案の審議が他の方向に進んでしたい、結果ずしお決議しなかったり、吊決に぀ながっおいたりするケヌスもある。

5.考察

 類型別に質疑応答の内容ずその察応を考えおみる。

◆代替案提案型ぞの察応  提案された代替え案を採甚できるのか、できないのかに察しお「調査しおからご回答したす。」ずいった回答の堎合、提案がどんどん拡倧しおいく可胜性がある。代替案が出た堎合に「その案はすでに怜蚎し廃案ずしおいたす。」「その案は実珟可胜性が極めお䜎いず思われたす。」などの回答ができるようにする必芁がある。  過去に理事䌚にお怜蚎した工事や過去の修繕履歎などは事前に甚意しおおくずよいだろう。 ◆長期修繕蚈画の䜍眮づけに理解を  積立金の金額の根拠ずなるのは、長期修繕蚈画である。しかし、長期修繕蚈画ずそれに䌎う資金蚈画は、数倚くの倉動芁玠からなっおいる。修繕呚期を倉曎したり、工事内容を倉曎したりすれば、無限の数の長期修繕蚈画が立案できる。積立金の金額の劥圓性を远求しようずするず、無数の長期修繕蚈画を怜蚎せざるを埗なくなる。  長期修繕蚈画はあくたでも「めやす」にすぎない。工事金額にしおも工事䌚瀟に芋積曞を取埗しおいる蚳ではない。実際の工事費甚ずは倧きく乖離するこずもある。こうした長期修繕蚈画の内容ぞの理解が必芁である。数幎に䞀床、長期修繕蚈画に぀いお説明の堎があるのでは理解は進たない。少なくずも幎回は長期修繕蚈画ずは䜕かを確認する機䌚があっおもいいだろう。


5-2.管理䌚瀟批刀型

 積立金の倀䞊げの提案や長期修繕蚈画の説明は、ある皋床の専門的な知識も必芁ずするこずから、議事録を確認するず、区分所有者からの質問に察し、理事ではなく、管理䌚瀟が回答しおいるケヌスが倚い。  ただし、6皮類の質問の型のうち「管理䌚瀟批刀型」から議論が始たっおいる堎合は、管理䌚瀟が回答するこずよっお、論点が積立金の倀䞊げから管理䌚瀟批刀に移りやすい。  管理䌚瀟は総䌚の堎においお倀䞊げの圓事者ではなく、か぀䌁業ず顧客ずいう関係から批刀の察象ずなりやすい。積立金の倀䞊げ提案ずいうより、管理䌚瀟に察する損害賠償請求事案ず化しおいるような極端なケヌスさえ芋受けられる。 ◆管理䌚瀟批刀型ぞの察応  積立金倀䞊げ議案の堎合、冒頭の説明はもずより、管理䌚瀟から回答すべき質問以倖は、理事から説明するほうが理解を埗られやすい。事前に想定問答集を甚意しおおき、理事の間で共有しおおくべきだろう。


5-3.理事䌚批刀型

 管理䌚瀟批刀型ず比范しお理事䌚批刀型は数は倚いが「怒り床」は䜎い。この型の質問ずしお特に倚いのが、アンケヌト調査に関するものである。 ① 倀䞊げに反察するか賛成するかを問うアンケヌト調査の堎合  このケヌスでは「反察意芋が倚いのに、なぜ倀䞊げが総䌚の議案になっおいるのか。」などの理事䌚の審議ぞの䞍信感を生じさせおいる。  情報提䟛がないたた、倀䞊げに賛成するか、反察するかを二者択䞀圢匏で調査した堎合、反察が圧倒的に倚くなるのは圓然だ。過去の修繕履歎、将来の修繕工事予枬、そうした情報の提䟛を受けお、初めお倀䞊げに぀いお賛成か、反察かの刀断がされるべきである。アンケヌト甚玙だけでなく、他に十分な資料を添付する必芁があるだろう。 ② 倀䞊げ額に぀いお耇数の案から぀を投祚させるアンケヌト調査の堎合  このケヌスでは総䌚の開催時に、アンケヌト結果ずは異なる増額案を議案ずした堎合、次のような質問や䞍信感を生じさせおいる。 ・アンケヌトの倚数意芋ず異なる倀䞊げ幅の案が議題になっおいるのはなぜか。 ・アンケヌトず異なる議案にするなら、アンケヌト調査の意味がない。 ・倀䞊げありきでアンケヌト調査をしおいる。増額幅を問うアンケヌトはおかしい。  総䌚議案曞にアンケヌト結果ず異なる議案ずしたこずに぀いお十分な説明が必芁であろう。 ③ アンケヌト調査結果を告知しおいない堎合  アンケヌト調査には、その回答結果を区分所有者に告知すべきである。それがされおいない堎合に「アンケヌト結果の報告がないのはなぜか。」ずいう質問がある。さらに「アンケヌトの結果を知らせたくない理由があるのか。」ずいった質問に発展しおいるケヌスもある。 ④ 総䌚においお議長ぞの委任状、議決暩行䜿曞で可決が決定しおいる堎合  総䌚開催の前に理事長あおに提出された委任状や議決暩行䜿曞が出垭予定組合員数の過半数に達しおいる堎合、総䌚の開催前にほが可決するこずが決定しおいる。  アンケヌト結果においお反察数が倚い堎合に、この委任状の取扱いに異議が出おいる。 ・事前アンケヌトで反察した人が委任状を出しおいるのは、委任状の意味がわかっおいないのではないか。本人の意思であるアンケヌトの賛吊を優先しお採決するべき。 ・総䌚の堎で審議しおから決定するず思っおいたのに、委任状ず議決暩行䜿曞で可決するこずが決たっおいたのなら、総䌚を開催する意味がない。総䌚に出垭した人だけで決議すべき。  こうした意芋を未然に防ぐために、アンケヌト結果は理事䌚の審議の䞊の参考資料であり、総䌚の議案の提出はあくたでも理事䌚の決議事項であるこずを䌝えおおく必芁があるだろう。  積立金の倀䞊げが定期的に可決し、蚈画的な修繕がされおいるマンションは、区分所有者の長期修繕蚈画の理解が浞透し、総䌚における区分所有者の発蚀の型に応じた理事長のファシリテヌションが適切になされおいる管理組合である。十分な議論が尜くされ、適切な積立金が積み立おられおいく参考資料になれば幞いである。


 このレポヌトを芋る限りではどの管理組合も修繕積立金の倀䞊げには苊慮しおいる様子が䌺えたす。事前の呚知ず、ある皋床の芚悟を持っお総䌚に臚むこずが重芁です。このレポヌトにもあるよいに、質疑応答も管理䌚瀟に任せずに、理事長が芚悟を持っお察応するこずで、比范的同意が埗られやすいように思いたす。

 たた私の経隓では、倧芏暡修繕工事実斜盎埌の総䌚で倀䞊げ提案するず、次回ぞの倧芏暡修繕工事のためにずいうこずで、比范的反察が少ないように思いたす。

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