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  • 執筆者の写真快適マンションパートナーズ 石田

遠のくマイホーム ウッドショックに翻弄され「あの時決めていれば」

更新日:2022年10月17日



 2022年5月29日の朝日新聞デジタルの表題の記事を紹介します。


「東京都江東区の住宅展示場で、1人の男性が空を見つめていた。

 「こんなに運が悪いとはね。いや、決断できないのが悪いのかな」

 男性は40歳の会社員。パート勤めの妻(39)と中学1年の長女、小学4年の次女との4人で東京都内のマンションに暮らしている。

 3年前、23区内に土地を購入した。現在、長女と次女は8畳の同じ部屋を使う。

 長女が中学生になる日までに、別々の部屋を作ってあげたい。そして、世界で唯一無二の木造の一戸建てを建てたい。そう願っていた。

 だが、今も家は建っていない。始まりは2020年春、ハウスメーカーの言葉だった。

 「コロナでね、木材の値段が上がりそうなんですよ。もっと上がるか、落ち着くか。どうします?」

 なるべく安く住宅を建てたい。そんなに待つことはないだろう。そんな思いが頭をよぎった。コロナを甘く見ていた。


 天井を高くしよう。キッチンはリビングが見えるように。吹き抜けにしちゃう? 和室も作りたいよね――。

 「家族で楽しく話していたんですけどね。今はタブーです」


始まりは米国から

 木材価格の高騰。「ウッドショック」と呼ばれる現象は米国から始まった。

 経済産業省によると、新型コロナウィルスの感染拡大で落ち込んでいた米国での住宅建築需要が、2020年5月のロックダウン解除で増加。在宅勤務の推進で、新しく家を買ったり、リフォームしたりする動きが加速した。その影響をうけ、日本でも丸太や製材の価格が上昇し始めた。

 21年春。事態はさらに悪化していく。

 世界の船が運航するスエズ運河での大型船座礁や、コロナ禍による人材不足で、物流の滞りが深刻に。日本でも、積水ハウスや大和ハウス工業などが木造住宅の値上げを実施しはじめた。

 その頃、男性は悩みに悩んでいた。住宅の予算は約4千万円。目安は2階建て延べ床面積40坪。メーカーからは、コロナ前より、少なくとも1坪2万円以上、上がると宣告された。木材以外の材料も高くなる可能性があるとも言われた。


 長女の中学入学も迫る。「これ以上待てない」

 だが、長女が気をつかって言った。「妹と同じ部屋でも全然平気。ゆっくり最高の家を建てよう」

 妻もうなずく。「40年は住むんだから」。コロナの感染者数も減りつつあった。決断できなかった。だが、男性はこの優柔不断を後悔することになる。

 今年2月、ロシアがウクライナに侵攻した。

 林野庁によると、日本の木材輸入量のうち、ベニヤと言われる単板の8割強、製材の2割近くをロシアが占める。


加工しやすいロシアの木材

 森林大国ロシアの木は、極寒の地でゆっくり成長するため、目が細かく、軟らかく、加工しやすい木材と言われる。ロシアからの輸入は、ソ連時代の1920年代に始まった。戦争で中断はあったが、エゾマツやカラマツを中心に、日本の住宅市場で一定のシェアがあった。

 東京都の木材輸入会社でも、「ウッドショックが終わる要素が見いだせない」と不安に駆られている。最近は、ロシアが丸太の輸出関税率を80%に引き上げるなど、安定的な供給先ではなくなっていたため、取引を減らしていた。そのため、直接的な影響はない。

 一方、ロシアから木材を輸入し加工するEU企業から、その加工品を輸入する企業も少なくない。その製品の価格は上昇傾向にある。35年以上、輸入に携わる担当者は「ここまで複合的な要因が重なるのは初めて。住宅需要が減り続け、市場が縮小するのが怖い。住宅と木材は切り離せない」と不安視する。

 経済産業省の経済解析室によると、製材の輸入価格は、ピークアウト感があるものの、高水準で推移。新しく家を建てたいという需要が一定程度抑制されている可能性があるという。インターネット上でも「家建てるの絶望した」「コロナと戦争で住宅価格が高くなっていく」「普通の会社員に家は買えない時代」と嘆く声が相次ぐ。


注目される国内産木材

 日本では、住宅の建築などに使われる木材の7割弱が輸入材だ。ウッドショックを受け、国内産木材も注目され始めた。ただ、木材業界では、「日本の木材は乾燥しにくく、形状変化に弱い」と言われる。

 最近の住宅は、建築現場で組み立てて使えるよう切断したり、加工したりしておくプレカット工法が増えている。工期は縮小されるが、木材の特性に合わせて、現場で臨機応変に建築を変えることは少ない。不足する輸入材を補うまでには至っていない。

 住宅展示場にいた会社員男性は言う。家族も友人も「ここまで待ったんだから」と優しい。でも……。高止まりの状態が続くが、そろそろ決断するつもりだ。」


 大規模修繕工事でも、2019年の消費税アップ時期、2020年のオリンピック開催時期と工事費が高騰し、少し待てば下がるはずと工事の実施時期を延期した管理組合が多くあります。しかし実際には値下がりせず、今春からの原油価格高騰、ウクライナ紛争の影響でより工事費は高騰しています。

 またコロナの影響で外国人労働者が来日できず、職人不足から工事の受注を避けるような状況も見受けられます。今後、いくら待っても工事費が下がる要因は見つけられません。どんどん時期を遅らせて、建物の劣化が進行すれば、工事費はより高額になるばかりです。

 適切な修繕時期に、3社以上の工事会社から見積もりを徴収し、適切な価格で発注するのが、今は一番良いと思います。

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